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≪情報や本舗≫【南方熊楠】≪寿命≫【十二支考】≪民族と伝説≫【ルーマニア鳥獣譚】

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”南方熊楠”公を大叔父に持つ熊方哲也氏の講演を聴かせていただく機会に恵まれ、その際に書き込みをした・・・知っている人は知っている!、知らない人は知らない!

【南方熊楠】【TBSクマグス】【人の寿命】【グリム童話】【十二支考】

グリム童話のお話は知っていても、こちらのお話は、知らない人の方が多いのでは?柳田国男先生を驚嘆させた熊楠公が、干支の動物を俎上に古今東西の説話をふまえて語る「熊楠」公の書かれた虎,馬,猿、犬,鶏、兎、竜、蛇、馬などの十二支の動物について書かれた

「十二支考」の3「犬に関する民俗と伝説」の記述にあるお話で、どうやら1915年版ガスター「ルーマニア鳥獣譚」にある話からのようです

その冒頭あたりに、こうある・・・・⇒「明治十五年、予高野登山の途次、花坂の茶屋某方で生年十八歳という老犬を見た。今まで生きておったら五十八歳という高齢のはずだが、去年十一月、三十九年めでそこを過ぎると、かの茶屋の家も絶え果て、その犬の成行きを語る者もなかった・・・・・・・』

さて人の寿命を検索してみると⇒人は特に問題がなければ老人になって衰えて死ぬものだとの考えから、老衰で死ぬことを寿命というとある、



               【要約と原文】
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神様が世界を造った際に、一切の生物を招集してその寿命と暮し方を定めた。先ず、人間を呼んで「お前は世界の王である。両足で直立し上天を仰ぎ見よ。お前には貴き容貌、考慮と判断の力、言語などを与える。地上の一切の生物はお前に支配され、樹に生るもの土に生じるもの皆お前が利用してよろしい。

寿命は30年とする。」と云い渡す。人間は、いくら王の如く威勢よく面白く暮らしても、たかが30年ではつまらないと呟いた。

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次にロバを呼び「お前は労苦しなければならない。常に重荷を負い運び、鞭打たれ叱られ、休息は束の間、粗食に甘んじて生きることとし、寿命は50年とする。」と宣告する。ロバは「そんな辛い目をして50年も長らえるのは情けない。どうか特別のお情けで20年だけ差し引いて戴きたい。」と懇願する。


それを聞いた強欲な人間はその20年をこちらに回してくれと申し出る。それで、人間の寿命は50年に修正された。

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次に、犬が呼ばれ「お前は主人たる人間の家と財産を守り、ひたすらこれを失わぬよう努めなくてはならない。月の影を見ても必ず吠えよ。骨折賃として固い骨と粗末な肉を与えるから、それを齧って40年生きよ。」と言い渡す。これを聞いた犬は震え上がり、そんなに骨折って骨ばかり喰えとは難儀極まると「20年でご勘弁を」と言う。

また、人間が割り込んで差し引いた20年を貰い受け、寿命は70年に修正された。

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最後に猿を呼び出し「お前は人に似るも人に非ず。馬鹿で小児めいたものたるべく、背中は曲がり、子供にも馬鹿にされ、 笑い物になって、60年生きなさい。」と命じる。猿はこれは根っから有難くないお話であるとて「とんでもないことでございます。半分の30年でご勘弁を」と言う。


ここでまたも人間がしゃしゃり出て「その30年、手前が貰い受けます。」と申し出た。それで、人間の寿命は100年に修正された。


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かくして人間は神から当初賜った30年の間は何と言って苦労もなく面白く遊び暮らすのであるが、30歳から50歳の20年はロバから譲り受けたものだから、未来の蓄えに備え、ひたすら働き苦労する。


50歳から70歳の間は、犬からのものだから、僅かに蓄えたものも他人に盗られはせぬかと夜もろくろく眠れず戦々恐々と生きることとなる。

70歳から100歳までの30年は、猿からのものなので、背は曲がり、顔つきも変り、心鈍くなり、子供じみて、他者に嘲笑されることとなる。

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ルマニア人は犬の定命じょうみょうを二十歳と見立てたらしい。
その話にいわく、

上帝世界を造った時、一切の生物を召集してその寿命と暮し方を定めた。一番に人を召し、汝人間は世界の王で、両足で直立し上天を眺めよ、予汝に貴き容状を賦与し、考慮と判断の力、それからもっとも深き考えを表出すべき言語の働きをも授くる。

地上に活き動く物は空飛ぶ鳥から土を這はう虫までも汝に支配され、樹や土に生ずる諸果ことごとく汝の所用たるべく、汝の命は三十歳と宣のたもうた。


人間これを承って懌(よろこ)ばず、いくら面白く威勢よく暮したってただ三十年では詰まらないやと呟つぶやいた。

次に上帝驢ろを招き、汝は苦労せにゃならぬ、すなわち、常に重荷を負い運び、不断笞(むち)うたれ叱られ、休息は些ちとの間で薊(あざみ)や荊(いばら)の粗食に安んずべく、寿命は五十歳と宣う。

驢これを聞いて跪(ひざま)ずいて愁い申したに、悲無辺の上帝よ、某それがしそんな辛い目をして五十年も長らえるはいかにも情けない。どうか特別の御情けで二十年だけ差し引いていただきたいと、

その時強慾の人間差し出て、さほど好まぬ驢の二十年を某へ融通されたいと望みの通り二十年加えて、人の命を五十歳と修正された。


次に上帝犬を呼び、汝は汝の主たる人間の家と財産を守り、ひたすらこれを失わぬよう努力せにゃならぬ、すなわち月の影を見ても必ず吠(ほ)えよ、骨折り賃として硬い骨を噛(かじ)り麁末(そまつ)な肉を啖くらうべく、寿命は四十歳と聞いて犬震い上り、そんなに骨折って骨ばかり食えとは難儀極まる。格外の御慈悲に寿命を二十歳で御勘弁をと言うも

おわらぬに人間また進み出で、さほどに犬の気が進まぬ二十年を私に下されいと乞うたので、また二十年を加えて人命七十歳となった。最後に上帝、猴さるを呼び出し汝は姿のみ人に似て実は人にあらず、馬鹿で小児めいた物たるべく、汝の背は曲り、毎つねに小児に嘲弄され痴人の笑い草たるべく、寿命は六十歳と宣うを聞いて猴弱り入り、これは根っからありがたからぬ、半分減じて三十歳に御改正をと聞いて

人間またしゃしゃり出で、猴の三十歳を貰もらい受けて人寿百歳と定まった。


かくて人間は万物の長として、最初上帝が賜わった三十年の間は何一つ苦労なしに面白く暮し遊ぶが、三十過ぎてより五十まではもと驢から譲り受けた年齢故、食少なく事煩わしく、未来の備えに蓄たくわうる事にのみ苦労する。


さて五十より七十まで、常に家にありてわずかに貯えた物を護るに戦々兢々(きょうきょう)の断間たえまなく、些(いささか)の影をも怖れ人を見れば泥棒と心得吠え立つるも、もとこの二十年は犬から譲り受けたのだから当然の辛労である。


さて人が七十以上生き延ぶる時は、その背せ傴かがみ、その面変り、その心曇り、小児めきて児女に笑われ、
痴人に嘲らる。これもと猴から受けた三十年だからだと。


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